今期は先の読めない展開と人間ドラマが交錯する「ミステリードラマ」が多くみられました。2026年冬クールのドラマの中で、完全に私的趣味で4つの物語をピックアップしました。
予期せぬ再会が静かに運命を変えていく『再会〜Silent〜』、張り詰めた心理戦が息詰まる『身代金は誘拐です』、愛と執着の狭間で誰もが翻弄される『全部あなたのためだから』、そして過去をリセットしようとする人々の再起を描く『リブート』。
どの作品も単なるミステリーやサスペンスではなく、「人の心」に潜む謎を描いているのが特徴です。本記事では、それぞれのあらすじと見どころをご紹介します。
今期注目のミステリー4選——あなたはどの物語の謎に惹かれますか?
「再会〜Silent Truth〜」(火曜日)
「再会〜Silent Truth〜」は、テレビ朝日系「火曜21時枠」で2026年1月期に放送されている、原作・横関大さんの小説『再会』をドラマ化したヒューマンラブミステリーです。
あらすじの概要
物語は、一つの殺人事件をきっかけに、二十三年前の忘れられない秘密が静かに浮かび上がっていく形で進んでいきます。
主人公の飛奈淳一は、担当する殺人事件の容疑者として、23年ぶりに初恋の相手・岩本万季子と再会します。
事件で使われた凶器が、小学6年生の時に仲良し4人組(淳一・万季子・圭介・直人)が「誰にも言えない秘密」としてタイムカプセルに埋めた拳銃だったことが判明します。
「なぜ拳銃が掘り起こされたのか」「4人の誰が関係しているのか」「当時の秘密が今の事件とどう結びつくのか」といった謎が物語全体を貫き、過去と現在が交錯しながら真相に迫っていきます。
この物語は、殺人事件の真相を追うサスペンスであると同時に、過去の過ちとどう向き合うのかを描いた心理劇でもあります。
そして、初恋や友情が再会によってどのように変化していくのか、その行方も丁寧に描かれていきます。過去と現在が交差する中で、隠されてきた真実が少しずつ明らかになっていきます。
基本情報
・放送局:テレビ朝日系(火曜21時ドラマ枠)
・放送開始:2026年1月13日スタート
・原作:横関大『再会』(第56回江戸川乱歩賞受賞作)
・ジャンル:ミステリー要素の強い刑事ドラマ(初恋・友情・罪と赦しを描く、ヒューマンミステリー)
・脚 本:橋部 敦子
・エグゼクティブプロデューサー:内山 聖子(テレビ朝日)
・監 督:深川 栄洋、山本 大輔
キャスト
・竹内涼真:飛奈淳一
神奈川県三ツ葉警察署の刑事。幼少期から正義感が強く、23年前に同級生3人と共有した秘密を抱えて生
きてきた人物。
・井上真央:岩本万季子
淳一の初恋の相手で、現在は殺人事件の容疑者として捜査線上に浮上する重要人物。
・瀬戸康史:清原圭介
4人組の一人で、現在は地元の再開発を担う企業に関わる人物として描かれます。
・渡辺大知:佐久間直人
幼少期から万季子に想いを寄せてきた繊細な性格の男で、再開発関連企業の専務。感情の振れ幅が大き
く、物語の鍵を握る存在。
そのほか、上川周作、北香那、段田安則、江口のりこなど、実力派キャストも名を連ねています。
評価と感想
登場人物たちの心情描写について単なる再会を描いた物語ではなく、複数の人物の感情や過去が複雑に絡み合った過去について、隠された秘密が少しずつ明らかになっていく話の続きが気になり物語の世界に引き込まれてしまいます。
竹内涼真さんや井上真央さんをはじめとする俳優陣の安定した演技が、物語全体の説得力を高めており、作品をしっかり支えていると感じます。
(井上真央さんが相変わらず可愛いのは嬉しいポイントです。)
原作との違いについては、「ストーリーの幹とテーマは原作どおり」ですが、「人間関係のニュアンス・再会のシチュエーション・象徴的な数字や設定など細部でドラマオリジナルのアレンジ」のようです。
ドラマは原作より感情と映像表現を強めたヒューマンラブミステリー寄りになっていて「この先どうなるのか気になる」「最後まで見届けたい」と感じられるドラマです。
「身代金は誘拐です」(木曜日)
冬ドラマ「身代金は誘拐です」は、「娘を救うためなら“自分も誘拐犯になる”のか?」という、倫理ギリギリの選択を真正面から描くノンストップ考察サスペンスです。
「家族を守るために、どこまで罪を犯せるのか」、「被害者と加害者の立場が入れ替わる誘拐の連鎖」過去の未解決誘拐事件が、現在の事件にどうつながっているのかがテーマになっています。
あらすじの概要
元刑事の鷲尾武尊と妻・美羽の8歳の娘・詩音が突然誘拐され、夫婦のもとに犯人から電話がかかってきます。
犯人の要求は「身代金」ではなく、48時間以内に「別の子どもを誘拐しろ、さもなければ娘を殺す」という前代未聞のものです。
『良心か、わが子の命か』という究極の二択を迫られた夫婦は、葛藤の末、自らも「誘拐犯」になる道を選びます。
やがて、ターゲットにされた子どもの父親であるWEB系証券会社社長・有馬英二から5億円の身代金を要求するなど、被害者だった二人が一転して加害者となり、さらなる誘拐や不可解な指示に巻き込まれていきます。
物語は「なぜ犯人は自ら誘拐せず、無関係な家族を使ったのか」「真犯人の正体と目的は何か」という謎を軸に進行する考察型ミステリーとして構成されています。
基本情報
- 放送局:読売テレビ・日本テレビ系(プラチナイト枠)
- 放送日時:2026年1月8日スタート、毎週木曜23:59~24:54
- ジャンル:ノンストップ考察ミステリー、サスペンス
- 脚本:大林利江子、今西祐子
- チーフプロデューサー:中間利彦(読売テレビ)
- 監督:本田隆一、今 和紀、渡邉裕也
キャスト
• 鷲尾武尊:勝地涼
元刑事で、8年前の誘拐事件で子どもを救えなかった過去を抱える父親。
・鷲尾美羽:瀧本美織
武尊の妻で、誘拐された娘・詩音の母。夫と共に極限の選択を迫られる。
・鷲尾詩音:泉谷星奈
誘拐される8歳の娘。
・有馬英二:桐山照史(WEST)
WEB系証券会社の社長で、武尊・美羽が誘拐する少年・蒼空の父親。
・壮亮ほか、浅香航大、真飛聖、佐津川愛美、和田雅成、磯山さやか、川西賢志郎、酒向芳らが脇を固めま
す。
評価と感想
このドラマは、誘拐された娘を助けるために主人公夫婦自身が誘拐犯にならざるを得ないという設定がとにかく強烈で、しかも制限時間は四十八時間。時間は刻々と過ぎ、罪悪感が常につきまといます。
真犯人は誰なのか、八年前の事件と今の誘拐はどうつながっているのか、犯人は何を目的としているのか。単純な犯人当てではなく、動機や構図そのものを楽しむ作品のようです。
自分の娘を救うためとはいえ、他人の子どもを誘拐するという決断に対して、「どうしても受け入れられない」「自分なら絶対にしない」と強い拒否感を示す視聴者もいるようです。
それでも、「身代金がお金ではなく誘拐そのもの」という逆転の発想は強烈です。
金銭ではなく倫理を試される身代金、被害者を加害者へと変えてしまう仕掛けや構図に、親の愛と他人の命を天秤にかける問いが重なります。
八年前の事件と誘拐の連鎖も含め、考えさせられる要素が詰まった作品だと言えるでしょう。
「ぜんぶ、あなたのためだから」(土曜日)
ぜんぶ、あなたのためだから」は、「登場人物全員偽善者」「善意の裏のエゴ」をえぐる“中毒性の高い『ラブサスペンス』として、考察好きからかなり好意的な感想が多い作品です。
あらすじの概要
幸せいっぱいの結婚披露宴。その最中、新婦の沙也香が突然倒れてしまいます。原因はシャンパンに混ぜられた毒でした。
となると、犯人はこの場に集まった参列者の中にいるはずです。新郎の和臣は、会場で撮影を担当していたカメラマンの桜庭に協力を求め、二人で真相を探り始めます。
調べを進めるうちに、沙也香の親友や母親など、身近な人たちが見せていた善意の仮面が次々とはがれていきます。さらに、沙也香自身が抱えていた過去の闇も明らかになり、疑いは全員に向けられていくのです。
登場人物は誰もが怪しく、全員に動機があり、しかもどこか好感の持てない人物ばかり。善意の裏に潜むエゴや悪意、そして殺意が浮き彫りになる物語です。
ドラマ版と原作では、大きな軸や事件の内容に違いはありません。ただしドラマでは、映像作品として登場人物の表情や間、緊張感を強調する演出が加えられている点が特徴です。
基本情報
- 放送局:テレビ朝日系(オシドラサタデー)
- 放送日時:毎週土曜 23:00~23:30
- 原作:夏原エヰジ『ぜんぶ、あなたのためだから』
- ジャンル:ラブサスペンス、(偽善と悪意を描くミステリー)
- 脚本 : 若杉栞南 藤平久子
- 演 出 : 久万真路 室井岳人
- プロデューサー : 残間理央(テレビ朝日)、島本講太(ストームレーベルズ)、野田健太(ソケット)
キャスト
・藤井流星(WEST.):林田和臣
区役所戸籍課勤務の新郎。結婚披露宴の最中に最愛の妻が毒を盛られ、その「ために」犯人捜しに奔走す
る正義感の強い青年。
・七五三掛龍也(Travis Japan):桜庭蒼玉
結婚式のカメラマン。撮影した写真から事件のヒントを導き出し、和臣の「ために」真相究明に協力する
シニカルな観察系キャラ。
・井桁弘恵:林田沙也香(新婦)
披露宴中に毒を盛られる花嫁。物語が進むにつれ、“どす黒い過去”や素顔の見えない一面が明らかになっ
ていく。
※そのほか、新婦の親友・母親・同僚など、いずれも「偽善者」であり容疑者となる登場人物が多数配置さ
れています。
評価と感想
タイトルが既に気持ちの悪い作品です。
「登場人物が全員イヤなやつなのに、なぜか面白い。」原作レビューを見ていると、まずそんな声が目に入ります。
読み終えた人からは「結局、出てくる人が全員嫌いになった」「ここまで不快なのに心に刺さる」といった感想が多く、あえて「全員が偽善者」という設定を高く評価する意見が目立ちます。
一見すると良い人そうな登場人物たちですが、実は誰もが心の奥に黒い本音を抱えているんです。
特に印象的なのが「あなたのためだから」という言葉です。毎話のように誰かが口にしますが、この言葉が現実にある「押し付けの善意」と重なり、妙にリアルです。
後味の悪さも含めて、善意や正義を疑いたくなる作品だと言えそうです。
※TELASAで、スピンオフドラマ「ぜんぶ、幸子のためだから」(前編)の配信をスタートしています。
七五三掛龍也(Travis Japan)が演じる桜庭と黒猫・幸子の出会いから、幸せな日々を幸子視点で描く
本編とは一線を画した「猫目線のラブストーリー」です。
「リブート」(日曜日)
ドラマ「リブート」は、TBS系・日曜劇場枠で2026年1月期に放送されているオリジナル脚本のサスペンスドラマです。
「家族を守りたい」というシンプルな願いが、人をどこまで変え、どこまで動かすかを描く点が大きな軸になっています。
あらすじの概要
物語の主人公は、街で洋菓子店を営むパティシエの早瀬陸です。穏やかで人が良く、どこにでもいそうな優しい男性です。そんな彼の日常は、ある出来事をきっかけに一変します。
2年半も行方不明だった妻・夏海の遺体が見つかり、なぜか陸が「妻を殺した犯人」として疑われてしまうのです。身に覚えのない証拠が積み重なり、裁判では有罪がほぼ確実という追い込まれた状況になります。
そこで陸は、家族を守り、真実にたどり着くため、事件を担当する悪徳刑事・儀堂歩の顔に変わって生きることでした。
別人として生きながら真犯人を追う中で、陸は「自分とは何者なのか」「人を愛するとはどういうことなのか」といった問いに向き合っていきます。
基本情報
- 放送局:TBS系 日曜劇場
- 放送日時:毎週日曜よる9時
- 作品ジャンル:家族ドラマ × サスペンス
- 脚本:黒岩勉
- 演出 : 坪井敏雄・田中健太・元井 桃
- プロデューサー : 東仲恵吾
キャスト
・早瀬陸/儀堂歩:鈴木亮平
家族思いのパティシエ・陸が、冤罪を晴らすために悪徳刑事・儀堂の顔に変えて二重生活を送っている。
・幸後一香:戸田恵梨香
夏海の後任となる会計士で、ゴーシックス社の公認会計士兼財務役員として陸の「リブート」を提案し協
力する。
・早瀬夏海:山口紗弥加
陸の妻で、2年半前に失踪し、その後遺体で発見される会計コンサルタント。
・真北正親:伊藤英明
警務部の監察官で、儀堂=新たな陸を執拗に監視する存在。
・冬橋航:永瀬廉(King & Prince)
NPO職員として表向きは善意の顔を持ちながら、裏では組織の実行役・儀堂の連絡係兼監視役を務め
る。
・霧矢直斗 : 藤澤涼架(Mrs. GREEN APPLE)
冬橋とバディを組んでいる仲間。
評価と感想
この作品には、賛否はありつつも印象に残ったという声が多く集まっています。まず高評価で目立つのは、鈴木亮平さんの演技力です。
話し方や細かな仕草から、別人であるはずの松山ケンイチさんの面影が感じられ、目の演技だけで感情が伝わってくるようです。
また、先の展開が読めないストーリーとテンポの良さで、「毎週リアルタイムで見たくなる」「展開が早くて飽きない」と、すっかりハマってしまいました。
家族への思いや切なさを描いた場面に心を動かされます。特にささやかな日常シーンが印象的で愛情を感じました。
付け加えるなら、ヒールで颯爽と歩く戸田恵梨香さんがとにかくカッコいいです。Mrs.の藤澤涼架さんはニコニコしているいつもと違う演技が上手で驚きました。
まとめ
2026年冬のミステリードラマは、どれも「心の奥に潜む真実」を描いていました。それぞれ違う切り口ながら、人間関係の複雑さと「信じること」「許すこと」を問う物語が印象的です。
まず『再会〜Silent〜』は、静かな映像と余白の多い演出が美しく、過去を抱えた登場人物たちの心の再生を丁寧に描きます。再会が生み出す希望と痛みのバランスが絶妙で、余韻の残るヒューマンミステリーです。
『身代金は誘拐です』は、一見王道の誘拐サスペンスながら、犯人の狙いと動機が徐々に裏返っていく構成が秀逸です。登場人物全員がグレーゾーンに立っており、正義とは何かを考えさせられます。
『全部あなたのためだから』は、「愛」を名目にした支配と狂気がテーマ。観る者の心をざわつかせる怖さがあります。
最後に『リブート』は、人生をやり直したい人々が直面する現実を描いた群像劇です。
この冬のミステリー4作品は、それぞれ形は違えど“人間”そのものの不可解さに迫る物語です。どの謎が、あなたの心に残りましたか?
