雨穴さんの最新作『変な地図』は、「古い地図」と「七体の妖怪」を手がかりに、祖母の不審死の真相へ迫っていくホラー × ミステリー作品です。
しかし物語は、ただの怪異譚ではなく、廃集落やトンネル、古い民宿などを巡る旅の中で、「家族の秘密」や「記録としての地図」が浮かび上がる、切ない青春ドラマとしての顔も持っています。
この記事では、『変な地図』の複雑に絡み合う事件と時間軸を整理しながら、分かりやすい形で「あらすじ」と「人物相関図」を徹底解説していきます。
読了後に「結局、誰と誰がどう繋がっていたの?」「七体の妖怪にはどんな意味があったの?」とモヤモヤしている方に向けて、ネタバレ要素も押さえつつ、物語の全体像が一目で掴めるように丁寧に紐解いていきます。
「変な地図」の あらすじ
就活に行き詰まっている大学生・栗原文宣が主人公です。栗原が亡くなった祖母の家の片付けに行き、七体の妖怪が描かれた不気味な古い地図を見つけることから物語が始まります。
その地図は、祖母が亡くなったときに握りしめていたもので、栗原は「祖母の死と何か関係があるのでは」と直感し、地図が示す地方の湖(河蒼湖)周辺へ向かう決心をします。
地図には、妖怪のような絵と奇妙な印が描き込まれており、場所を示しているらしいこと以外、詳しいことはわかりません。
本来なら就活の重要な時期ですが、栗原は地図の謎に強く惹かれ、面接を控えていながらも、地図が指し示す地方の海沿いの集落へ向かう決断をします。
地図が指す先は、かつて湖のほとりに存在したものの、今はほぼ廃墟のようになっている湖沿いの集落や、その周辺一帯です。 そこには以下のような、不穏な場所や出来事が次々と現れます。
栗原は、古地図に描かれた妖怪の位置や印を手掛かりに、これらの場所を一つずつ訪ね歩きます。
現地では、ほとんど人がいなくなった集落、事故が多発すると噂されるトンネルや無人駅、訳ありそうな民宿など、地図に描かれた妖怪と響き合うような“変な場所”が次々と登場します。
栗原は、そこで出会う地元の女性・帆石水あかりや鉄道会社の人々、郷土史の研究者らと関わりながら、祖母が何を追い、何を守ろうとしたのかを少しずつ探っていきます。
その過程で、過去に起きた不可解な人身事故や、地元で長く語られてきた怪談めいた噂話、隠された手記の存在など、いくつもの断片的な情報を集めていきます。
調査を進めるうちに、栗原は、祖母や祖母の周囲の人々が、この集落と深い因縁で結ばれていたことを知ります。
地元に残されていた手記や証言から、かつて集落の女性たちが、過酷な環境や一部の権力者の支配から逃げ出そうとしていたこと、そしてその計画が悲劇的な結末を迎えたことが浮かび上がります。
ここで、祖母がなぜ死の間際まで古地図を手放さなかったのか、その理由も見えてきます。
調べを進めるうちに、その土地には昔から「ある集落」にまつわる噂や、語られてこなかった出来事があったことがわかります。
祖母にとって古地図は、悲劇の象徴であると同時に、「守れなかった誰かへの悔恨」と「忘れてはならない記録」そのものだったと読み取れるのです。
古地図は単なるオカルトグッズではなく、過去の人々の思いが込められた「特別な地図」だった可能性が浮かび上がります。
終盤では、栗原は祖母の死の真相だけでなく、自分のルーツや家族の過去と向き合うことになります。
就活から逃げるように旅に出た彼は、地図に描かれた道筋を辿るうちに、自分自身の進むべき道についても考えざるを得なくなります。
ホラーや怪談としての怖さはありつつも、最終的には、虐げられた人たちが残そうとしたSOSや、家族が後の世代へ託した想いに気づく、人間ドラマとしての余韻が強い物語になっています。
旅を通して、栗原は祖母や母の過去だけでなく、自分の家族のルーツや、自分自身の「これからの進む道」と向き合っていく──というのが、大きな流れです。
「妖怪だらけの変な地図の正体」「祖母が最後まで地図を離さなかった理由」「地図が導く先で何があったのか」が本編の大きな謎と読みどころになっています。
「変な地図」の 相関図
雨穴さんの「変な地図」に登場する人物たちの関係を、わかりやすく整理してみました。
「家系・血縁」栗原家・帆石水家・沖上家
| 人物 | 関係の相手 | 関係の種類 | 補足説明 |
| 栗原文宣 | 父 | 親子 | 本作の主人公 |
| 母(故人) | 親子 | 建築工学の准教授 | |
| 栗原沙耶 | 兄妹 | 年の離れた妹で受験生 | |
| 知嘉子 | 祖母 | 変な地図を握ったまま亡くなった祖母 | |
| 栗原の母 | 知嘉子 | 親子 | 知嘉子の娘、旧姓は沖上 |
| 知嘉子 | 沖上喜見子 | 姉妹 | 旧姓「沖上」 喜見子と姉妹 |
| 沖上喜見子 | 帆石水亭の女将(果乃) | 親子(母と娘) | 喜見子の手記に出てくる娘・果乃(のちの女将) |
| 帆石水亭の女将(果乃) | 帆石水永作 | 夫婦 | 民宿「帆石水亭」を営む |
| 帆石水あかり | 親子(母と娘) | あかりは警察官になった女将の娘 | |
| 帆石水雅也(故人) | 親子(母と息子) | 交通事故で亡くなった 息子 | |
| 帆石水あかり | 帆石水永作 | 親子(娘と父) | 永作は「帆石水亭」の主人で、物語上重要な行動を取る人物 |
| 帆石水雅也(故人) | 兄妹 | 弟の事故死が、家族の罪や土地の因縁と絡み合う | |
| 栗原文宣 | 沖上喜見子 | 又従祖母に近い立場 | 祖母の姉であり、家系的には上の世代の血縁者 |
| 帆石水亭の女将(果乃) | 遠い親族関係 | 家系上は栗原と遠い親戚筋にあたる | |
| 帆石水あかり | 遠い親族、協力者 | 家系的には遠い縁(有) 物語ではバディ的な関係 |
家族・同居・生活圏での関係
| 人物 | 関係の相手 | 関係の種類 | 補足説明 |
| 栗原文宣 | 父・妹(沙耶) | 同居家族 | 母を失った後の核家族 |
| 帆石水あかり | 女将(母)・永作(父) | 家族・同居 | 河蒼湖周辺の民宿「帆石水亭」で暮らす家族 |
| 帆石水雅也(故人) | 生前の同居家族 | かつては一緒に暮らしていたが、事故で死亡 | |
| 女将(果乃)・永作・子どもたち | 河蒼湖周辺の集落 | 地域コミュニティ | 過去の集落の事情・事件に深く巻き込まれている一家 |
組織・仕事上のつながり
| 人物 | 関係の相手 | 関係の種類 | 補足説明 |
| 帆石水あかり | 入丘 | 上司と部下 | あかりは警察官で、入丘はその上司にあたる |
入丘 | 永作・女将 | 警察と関係者 | 過去の事件・事故に関する捜査、事情聴取などで関与する立場 |
| 大里幸助 | 越沼・スガワラ | 社長と部下 | 大里は矢比津鉄道の社長越沼・スガワラは駅員 |
| 越沼 | スガワラ | 同僚 | 同じ矢比津鉄道の駅員 文宣に情報提供する役割 |
| 大里幸助 | 矢比津啓徳 | 社長と会長 | 啓徳は会長 創業者・剛堂の息子 |
| 矢比津啓徳 | 矢比津剛堂(故人) | 親子(息子) | 剛堂は矢比津鉄道の 創業者 |
富永松乃 | 栗原文宣 | 研究者と相談者 | 郷土史の研究者 文宣に地域史・集落の情報を与える 学術的なブリッジ役 |
関係が分かりやすいように、「家系・血縁」、「家族」、「仕事・組織」の3表に分けました。
作品全体は、「地図を描くこと=記録し、伝えること」、「妖怪=忘れられた人々の声」、「変な地図=恐怖と同時に、愛情や保護の意思が込められたメッセージ」というテーマで貫かれています。
ホラーや怪談としての怖さはありつつも、最終的には、虐げられた人たちが残そうとしたSOSや、家族が後の世代へ託した想いに気づく、人間ドラマとしての余韻の強い物語になっています。
「変な地図」日本の評価
全世代に共通する評価
「一見普通に見えるものが、読み解いていくと恐ろしい真実に変わる」というゾッとする体験が、多くの視聴者を惹きつけています。
派手なホラー演出に頼らず、論理的な考察で恐怖をあぶり出すスタイルが、知的な好奇心を刺激すると評価を受けています。
年代別の傾向
・10代~20代:デジタルネイティブ世代の支持
YouTubeやTikTokを通じて雨穴さんを知った人が多く、圧倒的な認知度を誇ります。
白い仮面という独特のビジュアルや、短い時間で謎が解けていくテンポの良さが受け入れられています。
学校の友人同士で「これ見た?」と話題にしやすいコンテンツとして楽しまれています。
・30代~40代:ミステリー好き・考察好きからの評価
推理小説やミステリードラマに親しんできた世代からは、謎解きが「本格的でおもしろい」と評価されてい
ます。
単なるホラーではなく、地図という現実的な素材を使っているため、大人たちからも高く支持されていす。
・50代以上:新しいミステリー体験としての関心
江戸川乱歩や横溝正史のような、日本特有のジメッとした陰湿な恐怖を感じさせる作風が、かつての推理小
説ブームを知る世代にも「どこか懐かしく、かつ新しい」と受け入れられています。
世代によって楽しみ方は違いますが、共通して「日常に潜む不気味さ」を楽しんでいるのが特徴です。
書評サイトでは、ホラー初心者でも読みやすいエンタメ寄りの作品として支持されています。
「変な地図」海外の評価
「ミステリー」×「ホラー」×「図解」の形式
「間取り」、「イラスト」、「地図」、など視覚情報を手がかりに謎を解く形式が「他にあまり例がない」、「ビジュアルで分かりやすい」と評価され、ホラー初心者や若い読者にも受け入れられやすいとされています。
海外編集者・企画担当者は、「読みやすさ」、「ページをめくる推進力」が強く、親子や若者にも広がりやすい作品だとコメントしている。
雨穴さんの「変な家」シリーズや「変な地図」は、アジア発のヒットからヨーロッパ・北米へ広がり、多くの国で「翻訳オファー」、「賞レース」、「重版」、が出るレベルで高評価を受けています。
まとめ
『変な地図』は、ホラーの緊張感とミステリーの謎解き、そして家族の記憶をめぐる叙情性が巧みに重なり合った、雨穴さんならではの物語です。
本記事のあらすじ解説と相関図を通して、時間軸や人間関係の整理が進み、初読では見落としがちな伏線や、七体の妖怪に込められた意味にも気づきやすくなったはずです。
もしまだ本編を読んでいない方は、この記事を「予習」として活用しつつ、ぜひ実際のページをめくりながら自分なりの答えを探してみてください。
すでに読了済みの方は、相関図と照らし合わせて読み返すことで、新たな解釈やキャラクターへの感情の変化を楽しんでみて下さい。

